キリムとギャベの違い
こちらの写真は(キリムギャッベ)、ギャッベの手織り敷物によく似ていますが、キムリと呼ばれるものです。この二つはよく似ていますが、まったく違う敷物です。幾つかの点をご紹介します。
1)伝統と模様
キリムは伝統的な手織り敷物ですので、各産地に伝統的な模様のキリムがあります。ギャッベには伝統的な模様などはなく、織り手の頭の中にあるデザインを即興的に織っておきます。またギャッベの模様の多くは自然をモチーフにしたものが多く見られ、自由な新しい模様が常に生まれてきますが、キリムは伝統的な文様に沿ったものを多くみかけます。デザインにおいては、キリムは伝統的な敷物、ギャベは現代的な織物と言うことができるでしょう。
2)アンティークの存在
キリムは伝統的な敷物のため、昔から残っているオールド・アンティークキリムも沢山あります。ギャッベは遊牧民族の実用的な敷物としての背景を持ち、商業用としてはまだ新しいので、オールドやアンティークは存在しません。
3)作り方
キリムは結びのないパイルのため、厚みがありません。キリムを結ぶときは、縦糸に横糸を一度結び、次に残りの横糸をその隣の縦糸に結び、次々と織りを続けていきます。このパイルのない結びを”ループ(LOOP) 結び”と言いい、キリムは薄く仕上がります。一方ギャッベは縦糸に横糸を一回結び、残りの横糸をカットしてパイルをつくります。この結び方により厚みが生まれ、織り方の細かさにより変わりますが、ギャッベの厚みは平均的に一センチ以上の物が多く、厚いものでは3センチ以上あるものもあります。
4)産地
キリムは伝統的な敷物のため、たくさんの産地をもっています。ギャッベは遊牧民族のカシュカイ族など、一部の地域と民族により織られています。
こちらの写真のキリムは、パイルがない基本のキリムの模様の周囲に、パイルがある結びのギャッベのスタイルで織られた、キリムとギャッベの工法を混ぜて作られたとても珍しいものです。現代的な模様の映える、とても伝統的な美しい敷物です。
ペルシャキリム
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キリムギャッベ |
ペルシャギャッベ |